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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





懺悔室に向かう前に
セドリックの背中に声を掛けたら
「ああ」しか返って来なかった。

次に笑顔をみられるのは
いつなんだろうって考えてる時点で
可笑しいんじゃないかと思い
頭を振った。



監房に戻ると部屋で待っていた
コーギーは首から下げた
十字架を大切そうに眺めていた。





「コーギー?」


「ケンジ。お疲れさま。
医務室は楽しいかい?」


「俺の目指す礎があるから
やりがいを感じてる。
当分、君のお世話にはならないかな」


「それは寂しいね。
でも本格的に嫌われてなくて安心した。
こうして喋れることが嬉しいよ。

仲直りのしるしに
ケンジに渡したいものがあるんだ」





立ち上がったコーギーは
机の上にあった
真っ白なカップケーキを渡した。





「ケーキ?」


「小腹空いてるかなって思って
甘い物にしたんだ。
もらってくれるかい?」


「そういえばお腹空いてるの忘れてた。
ありがとう。
いま食べても時間あるかな?」


「十分間に合うさ。ここに座って」





コーギーの横に座ったケンジは
大きな口を開けて
カップケーキにかぶり付いた。

美味しいと微笑んだケンジに
コーギーは大変嬉しそうな顔で返し
いくらか二人の空気は柔らかくなっていた。



それはたぶんルキノに感謝され
穏やかな会話が出来たからだろう。

医療従事者を目指すものとして
使命をやり遂げたケンジの心は
ある意味満たされていた。





「懺悔って何分くらいあるんだ?」


「短い時で30分。
長い時だと食堂開放ギリギリとか。
このあと予定あるの?」


「いや。早く終わったら
何しようかなって」


「なら図書室に行こうよ。
役に立ちそうな本を見つけたんだ」





ぺろりとカップケーキを平らげ
早く終われば
図書室に行くことにしたのだった。


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