• テキストサイズ

【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *







「病名もハッキリしたんだ。
とても長く治療を要する病気だけど
死ぬわけじゃない。
しっかり治療して
大切にケアしていけばいずれ治癒する。

しばらくは安静にして
仲間の元に戻って俺は大丈夫だ!
って伝えないとな」





ケンジの微笑みに対して
ルキノの目がぐらっと揺れる。
仲間たちに「気持ち悪い」
と追い出されたことを思い出したのだろう。

言いづらそうにケンジに視線を送った。





「……アンタ。知ってたのか?」


「何となくね。
俺も小さい子供だったら
心にもないこと言っていたかも。
君の病気は他人にうつさない。
だから仲間の元に帰ってハグもできる。
必要だったら俺が言い返してやる」


「……殴られるぞ」


「だったらセドリックも一緒かな。
口で負かす自信はあるけど
腕っぷしは下段から数えたほうが早い」


「ペテン師か?」


「そう見える?」


「いや……。
真面目で馬鹿正直そうだ」


「失礼な奴だな」





痛みが和らいだせいか
ルキノの表情に何度も穏やかな顔がみられた。
口調もいくらか穏やかになっている。

ケンジは良い兆候だと思った。





「もうそろそろで13時かな。
刑務所は時計がないから不便だ。
痛みが和らいで本当によかった。
じゃあお大事に」


「ケンジ」


「ん?」





ルキノは拳を出した。





「名前で呼び合おう。
ケンジは敵じゃない」


「ありがとう、ルキノ。
仕事が片付いたらまた話をしよう」


「ああ」





ケンジとルキノの拳に軽くぶつけた。

少なくともルキノは
他の囚人たちより物分かりがよく
対等で話しやすい関係を作れそうだと思った。


/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp