第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
コーギーは
弱い立場を利用した変態野郎。
親切さには裏があった。
視姦はほかの囚人たちと
大差ないこと。
お人よしかも知れないが
すべてを厭味に捉えらるのは
些か失礼な気もした。
不安だらけの刑務所生活。
同房だからとて親切にされるとは限らない。
あのイキった白人みたく
目の下に痣を作っていたかもしれない。
殴られたり蹴られたり
場合によっては刺されたり、
命を落としたり
看守にバレないように嫌がらせされる
可能性だってあるわけだ。
「約束してくれ。
二度と汚いもの見せないって」
「ああ、もちろん。神に誓って言うよ」
コーギーは仲直りの証に
13時からある
懺悔に参加しないかと誘ってきたが断った。
ケンジ自身、
犯した罪もなければ
無実を話す気もなかったからだ。
コーギーは何も話さなくてもいいから
話を聞くだけ参加してほしいと
根強く誘い、
ケンジは渋々承諾したのであった。
朝食は仲直りしたコーギーではなく
セドリックの横で食べた。
「クソ不味い」
「今日の朝食はマシだと思うが」
「……お前のセイだ」
いつも横にいるせいか
あのグラウンドの一件もあって
余計に冷やかしてくる奴らが増えた。
八つ当たりしていると自覚していた。
割り切れないケンジとは違い
セドリックは子分というよりかは
「女のフリ」として
周りに浸透させたいようにも感じる。
(デイジーがいる癖に……。
俺はその為の
カモフラージュって訳か)
キスを要求したのがその証拠。
それだけデイジーとの時間が大切。
男とキスしてでも
他人に勘繰られたくないのだろうと思った。