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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





屈強な体に
相応しく備わっているもの。

ケンジはこの世の恐ろしいものと
対峙した顔つきだった。





「無理しなくていい。
泡をちゃんと流してから体拭けよ」


「そ、そうだな……」





そんなケンジの強張った表情をみて
セドリックは何気なく
明るい声を出してくれた。

ケンジはほっと一安心して肩の力が抜けた。

洗っていない部分を早急に洗い
場所を空けるため
足早にお風呂場のドアを閉める。





「やっちまったぁぁ……」





やられたのはこっちだが
不覚にもほどがある。
ケンジは頭を抱え込み過ちを思い返す。



与えられるものすべてが温かくて
溶けていくようだった。

あの青い目には自分しか映っていなくて…。

このままでは過った方向に流れると思い
頭を切り替える。

あれは事故だと水に流すことに決めた。

いつまでもここにいたら
セドリックの呻いた声を
聞くことになってしまうかもしれない。
そしたらもっと気まずくなる。



着替え終わると
ケンジは図書室で本を借りることにした。



適当な本を手にとり消灯時間までやり過ごす。
監房に戻るとコーギーがいた。

隣りの監房はセドリックがいると判明して
いくらか気分は楽になった。
叫べば助けてくれる。
それに監房のなかで問題を起こせば
看守が気付き
なんからの処罰を下すはずだ。





「態度があからさまだと傷付くな」





上のベッドに登ろうとした時
コーギーの声が聞こえ、

ケンジの表情が瞬時に曇った。


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