第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
口からは熱い吐息が漏れ
零れてしまいそうなくらい涙が滲む。
「ひどいことはしない。
俺の目をみて。
俺しか見てないし聞いてない。
俺に身を預けろ」
セドリックの落ち着いた声に
ケンジは恐る恐る視線を上げた。
そこには綺麗な青い瞳。
最初見た時からずっと
追いかけていた。
ケンジが薄く唇を開けると
セドリックはそこにキスを落とす。
瞳を閉じるとそっと溜まった滴が落涙する。
「っふ……、はぁ」
羞恥はあっても不思議と恐怖はなかった。
むしろケンジの方から
熱を貪るように
唇を深く求めにいった。
初めての経験だった。
久しぶりの人肌の感触が心地よくて
上手く抵抗することができない。
抵抗するどころか
頭の中まで溶けていく甘美なキス。
「セドリック。もう……っ」
「イケ。そのまま楽になれ」
「くっ……ぁ゛、……くぅッ──」
熱を手放したケンジ。
高揚感が全身に迸って動くことができず
暫くセドリックの肩に頭を預ける。
久しぶりだったせいか呆気なく果てた。
気持ち良かった…。
けれど正気を取り戻すと
だんだん気恥ずかしくなって
どうして良いのかしどろもどろになる。
「……おわっ」
体の向きを戻そうとしたところ
腰に固い異物が当たった。
セドリックが自分に触れて硬化させている。
ケンジは戸惑った。
前科を払うべきか。
迷う前に先に口走ってしまった。
「し、してやろうか……?
お前の、……その…」
とんでもなく恥ずかしくて顔をあげれない。
ケンジの視線は
角を張った
セドリックのタオルに集中していた。