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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *







「毎日じいさんの世話してるだけあるな。
すごく上手だ」


「毎日だと反吐が出る。
日本人は毎日風呂に入る習慣があるのか?」


「俺は1日1回入らないと気持ち悪い」


「潔癖そうだしな」


「遅い時はそのまま
寝ちゃう時もあるけど
朝になったら必ず入ってた。
おまえは?」


「俺はここへ来て
毎日入るようになった。
その前は立派な環境じゃなかった」





その言葉を聞いてケンジは口を閉じた。

外の世界で生きてきたこと。
気になるけど聞いちゃいけない気がした。

セドリックはなんの罪で投獄されたのか。
軍人をやめた理由と因果があるのだろうか。
様々な憶測が飛び交ったが
本当は冷たい奴じゃないと
触れてようやく分かった。



下心があるのは否めない時もあるが
揶揄ってきている印象が
断然強かった。

それにコーギーには
嫌悪感しか感じなかったのに
セドリックに押し倒された時は感じなかった。

触れた唇も悔しいけど

……嫌じゃなかったのが本音だ。





「背中洗ってやる」





セドリックは介護の一環なのか
スポンジを泡立てて
背中を擦ってきた。

鏡越しでみると
無心の顔でやっているから
何だが笑いが込み上げてしまう。





「セドリックって世話好きなんだな」


「誰にでもって訳じゃない」


「えっ……?」





揶揄ったつもりが
特別扱いされているように
聞こえてしまった。

ケンジは顔が熱くなる前に
振り向いて手を伸ばした。


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