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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





背を向けてデスク作業していたバートンは
手を休めて振り返った。





「構わんが、
文字ばかりで面白い本じゃないぞ。
人体構造の方がイラスト付きで
読みやすいと思うのだが」


「ここには分厚い教材がないから
退屈しそうなんです。
術場があるなら見て見たいけど…」


「ちょっと待ってくれ。
ケンジはもしかして医学生か?」


「あ、すみません。
言ってませんでした。
俺、スタンフォード大学医学部の1年──」





まだ自己紹介の途中だったのに
バートンは興奮したように
「なんだって!?」
と眠たそうな目をパチクリさせた。





「すまん。大きな声を出した。
てっきり私は
セドリックに色気づいた少年かと」


「冗談よしてください。
男を抱く趣味なんてない」


「それもそうだな。
理由は何にしろ部門は?」


「麻酔科・周術期および疼痛医学部門です。
模擬OSCE、シュミレータートレーニング、
プログラムオリエンテーションはやって来ました。
ですが臨床実習はまだでして……」





講義や課外活動のなかでしか
経験や知識はないことを告げると
バートン医師はそれはそうだと片眉を上げた。





「今日は勤務外になりそうだから
明日は一緒に患者を診ようか」


「ぜひお願いしますっ」


「あんまり臨床は期待しないでくれよ。
場所も場所だからね」





ケンジは飛びついて喜んだ。


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