第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
だけど聞いてみたかった。
セドリックはどういう反応をするのかなって。
冷たく返してくるのかなって。
「黙ってないで応えろよ」
近くでみるとセドリックの瞳は
本当に綺麗な青だった。
深い海底っていうよりかは澄んだ海の色。
広くて自由な空の色。
神秘的なブルームーンにもみえる。
「尋問して楽しいか?」
「考え過ぎだ。
俺はSPYでもないし
軍事訓練にすら参加したことのない
頭でっかちの医学生だ」
「喧嘩もしたことないのか?」
「見よう見真似の拳法ならできる!
シュッ、シュ」
ケンジはバトルアクションものの映画を
真似するように
パンチとキックを空中に繰り出す。
すると、いとも簡単に攻撃を受け止められた。
「俺は寝技が得意だ」
「え? うわっ──」
セドリックに抱き込まれるように押し倒された。
個室部屋だったから誰もいない場所。
ギシッと軋んだベッド。
押し付けられ
背中に手が回って思うように力が入らない。
「何すんだよ……っ」
「コーギーが怖いなら俺の女になればいい」
「はあ!?」
「そうすれば
ケツを心配をする必要はなくなる」
「おい待て。
さっき自分はゲイじゃないって」
「フリをしろと言ってるんだ。
誰もお前なんかのケツに興味はない」
「っ……」
それは自分にはデイジーがいると
言っているようなものだ。
しかしケンジは焦った。
焦らすように耳元で囁く声。
鳥肌が立つところなのに
嫌悪感どころか
訳の分からない熱が込み上がってきた。
熱が上がる前に苛立つ原因を探り
後ろをキッと睨み返す。