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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





洗濯物を片付け終えると
部屋の掃除を教えてもらうことになった。





「教えた部屋順から掃除しろ。
入れ違いになったら迷惑だ」


「一言多いな。
記憶力だけは自信があるんだ」





大人しくセドリックのやり方を見ていると
初めて問うてきた。





「……この近くの大学か?」


「スタンフォード大学だ。
実家も近かったし
あそこなら
俺が学びたいことが学べると思った」


「ママが恋しいお年頃か」


「大学から一人暮らしだ。
それに母は産後まもなく経って死んだ。
アメリカに来たのは4歳の時だ。

俺の親父は
ラティーノのミーシアと再婚して、
俺より5歳年上の
ジェイクを女手ひとつ育てていた。
リリーが生まれて5人家族になった。

けれど2年前に起きたマスタング暗殺未遂事件。
コンクリート車に追突されて
親父は死んじまった」





犯人たちの逃走経路に巻き込まれ
父はこの世を去った。
損傷が激しく修復は完璧じゃなかった。
ひどく潰された息苦しさを想像し、
あまりの痛々しさに見ていられなくなった。



その瞬間、ケンジはハッとした。



なんでこんなことを
セドリックに話してしまったんだろう。
出会って半日も経ってない男に。
迂闊だった。





「余計な話をした。すまん」


「家族と連絡を取ったのか?」


「えっ……?」





そこには意外にも心配してくれる目の色。

澄んだ青い瞳が
そうさせてしまうのだろうか。



冷たくて気難しそうな奴なのに
優しくされると
不安定な感情が揺れ動いてしまった。


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