第33章 𝐋𝐎𝐂𝐔𝐒 *
テーブルはそれぞれ固定されており
4人ずつ向かい合って食べている。
「囚人の割合は白人が多いのか?」
「いいや。
半数近くはメキシコギャング。
ここでは彼らが最も強い勢力だ。
次にブラックギャング。
白人は少数だからギャング組織は作ってない。
彼らに興味があるの?」
「ギャングには一生関わりたくない。
コーギーだってそうだろ?」
「できればね」
曖昧な返事で応えられ、
ケンジは眉間に皺を寄せる。
クリスチャンであるコーギーは
関わりざる負えない
状況に立たされているのだろうか。
そう考えていた矢先、
後ろを通っていく男に目が行った。
「──…!!」
あまりの驚きで
息をするのも忘れてしまった。
この薄汚い監獄には似つかわしくない整った風貌。
長身でバランスのとれた筋肉質の白い肌。
オレンジ色の囚人服ではなく、
医療現場で着用する紺色のスクラブ姿。
明るいブロンドがかった茶色い頭髪。
長めの前髪は無造作に流していて、
これまた美しい額が出ている。
「コーギー。
あの青い服の男は?」
「ああ……。
彼には、関わらない方がいい」
「奴は何者だ?」
整った眉ひとつ動かさず、
恐れを知らない冷徹さをうつす青々しい瞳。
ケンジはその男から目が離せなかった。