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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *







「──…ケンジ、どうしたの?
気分が悪い?」





目の前に見慣れない顔があって
ケンジは首を引っ込めた。

あたりを見回して
自分の恰好をみて再認識する。
すでに裁判に負けた最果ての場所なのだと。





「……ああいや、頭が重くて」


「夕食まで時間があるし
長旅で疲れたんだろう。
横になってよ」


「何時になる?」


「いまは14時頃だから30分は眠れるね。
15時から夕食タイムだ」


「随分早いんだな」


「16時に点呼があるよ。
看守にとってはついでみたいなものさ。
点呼はその1回のみ。
起床時6時45分~消灯21時までは
基本的に自由時間なんだ」


「朝と昼の食事は?」


「食事は1日2回。
食事前にロックダウンなんて起こったら最悪さ。
看守に告げ口なんてものは以ての外。
囚人たちにバレたら
明日まで命はない」


「囚人たちにとっては看守が敵か……。
なるほどな」





常識人として過ごしてきても
看守は味方ではない。

むしろ味方なんていやしない。
だから囚人同士で仲間を作る。
ここは法律もない
暴力やレイプ、ドラッグが横行する無法地帯。





「時間になったら起こすよ。
それまでゆっくりおやすみ」


「恩に着る」





ケンジは上のベッドに上がって布団をかけた。
寝顔を見られたくなくて壁を向いた。

マットレスが固い。
ごわごわなタオルケットの手触り。
枕の形も馴染まない。
ベッドの幅も狭くて窮屈に感じられる。

けれど拘置所よりマシな環境だと思った。
ケットをかぶって瞼を閉じれば、
次第にどっと疲れた眠りが襲ってきた。


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