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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





ケンジが麻酔科医を志す一方で
チェイスは外科医が一番格好いいだろうと
同じ医師の道を志していることを知った。

なんとも派手好きな彼にはぴったりだと思い、
二人で夢を熱く語り合ったものだ。



チェイスとは気が合う反面もあれば
お互いに違う人間であり
知識を身につけるにつれ、
どうでも良いことで衝突することが増えてきた。

ケンジは普段は物静かに見えても
一度火が付けば引き下がらない頑固者。
チェイスは自信家で
自分の信念を曲げない奴だったため、
二人して感情的になって収集が付かなくなる。

本物の兄弟がいない似た者同士
だったからこそ妙な競争心があった。



自分たちの義兄とは殆ど喧嘩しない癖に
少しの小競り合いが積み重なって
小突きあいから足蹴りにかわり、
二人してどんどん口調が荒くなって
知識でまくし立てようとする。

でも一旦離れて冷静になれば
次の日にはケロッと元通り。



だからその夜も、また明日になれば関係が修復されるものだと思っていた。





「──ああもういい分かった。
お前とは話にならない。
俺は帰る」


「逃げんなよ。
まだ話は済んでない。待てよ」


「触るなッ……!
今日はちょっと飲み過ぎた。
頭を冷やしてくる。

お前もぶっ倒れる前に帰れよ」


「おい待てよ。ケンジ…!」





馴染みのバーで飲んで、
酒も入っていたらかなり熱くなった。

すぐ家には帰る気にはなれず、
頭を冷やすため
ぐるっと川沿いの方まで遠回りすることにした。



明日の講義は遅い。
もう少しゆっくり眠れると思っていたら

ドンドンドン



激しく玄関ドアを叩く音で目が覚めた。


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