第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *

広間を抜けると
2階へあがる階段へ進む。

それにしても
此処のフロアには白人の姿が多く目立つ。

受刑者の多くは黒人もしくは
メキシコ系アメリカ人ともいわれる
ヒスパニックやラティーノが多く示しているはず。





「同室に入る仲間がいる。
お前は初めてだから指示をよく聞くように」


「人種分けがされてるんですか？」


「共同施設内には一切の制限はない。
このブロックは白人。
Cブロックにラティーノ、
Dブロックに黒人が入れられている。
それ以外の人種や入り切らなかった囚人が
Aブロックにいるんだが空きがなかった。
お前は中国人か？」


「いえ、日本人です」


「ここじゃ珍しいな。
お前の同室は
コーギー・マクミランという白人だ。
信仰深いクリスチャンだ。

……マクミラン。
こいつに色々教えてやってくれ」





監房には30代前後の
身なりの整った囚人が本を読んでいた。

ベリーショートの
プラチナブロンドの髪。
灰色がかった青い瞳。
手足の長いひょろい体。





「問題を起こすなよ」


「任せて。長年ここに住んでいるんだ。
さあ入って。
君のベッドは上だ」





トレイシーは一言残すと早々に行ってしまい、
ケンジの警戒心が一気に強まる。

看守の存在は
いわばケンジにとって最後の砦。

それに対してコーギーは
にっこりと
親しみやすい笑顔を向けてきた。