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【R18】Querer【創作BL】

第33章 𝐋‌𝐎‌𝐂‌𝐔‌𝐒 *





護送される前のこと。

拘置所に留置されていたケンジは
最終判決の法廷の場に立った。





《──…判決は有罪。

第二級殺人罪の訴因で被告人は

禁固刑15年とする》





木槌が叩かれたと同時に
後ろで嗚咽が響く。

白人の夫婦。
その手に持ったのは
ケンジと同年代の青年が映った遺影写真。





(どうして……。
生きているなら違うと言ってくれ。

チェイス……!!)





歪んだ遺影を見つめ
ケンジは乾いた涙の陰を落とす。



その遺影に映った人物こそ
ケンジの殺人罪に問われることになった親友、
チェイス・ヒューレット。





身に覚えのない指紋付きの凶器のナイフ。

遺体の傍にあったケンジの服のボタン。

口論を目撃したという証言。





「二度と顔をみせないで。
son of a bitch!!」


「っ……」





穏やかな夫婦だったからこそ痛感する。
浴びせられた差別的発言。

チェイスに誘われ、
初めて家に招かれたとき
おおらかな包容力と温かな眼差しが
すべて偽りだったと思えるように。

こんな冷たい目など向けられなかった。





崩れ落ちそうな足を踏みしめ
奥歯をグッと噛みしめるケンジ。





ケンジは最後まで無罪だと繰り返した。

勾留期限ぎりぎりになるまで。
何度も。
「俺はやっていない」と主張し続けた。

しかし結果は15年の実刑判決。



抵抗は無駄だった。

チェイスの報いを晴らすこともできず
真犯人は闇に葬られ
終止符が打たれてしまった。


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