第32章 検索
一瞬、見間違えかと思った。
けれどこの超越された横顔は
間違いなく牛垣本人だ。
本物をみたから間違いない。
東洋人の牛垣と西洋人の男性は
間近な距離で深く、見つめ合っている。
画面を大きくしてみると
「LOCUS」と書かれており、
どうやら洋画のタイトルのようだ。
牛垣が膝の上に乗ったようなアングル。
少し上になった角度から
男の唇をみるように
長い睫毛を薄っすら自然に伏せている。
その男も海外ならではの
明るい茶髪と
強い印象を残す宝石のような青い瞳。
顔つきもとてもハンサムだ。
誘惑を漂わせる牛垣に対して
自制心を抑え込んでいるようにも
みえる相対する表情。
それに…違和感の正体は
見つめ合う熱量だけじゃない。
二人とも同じ青い服をきていて
背景には
監獄・刑務所の有刺鉄線。
目元や口元を
着色料で彩ってはいないのに
素材だけで作りだした艶やかな表情。
ただ事ではない。
どう見たって
仕事も完璧で
態度も男らしくて
イケてるボイスの牛垣主任が
「ウケ」にしか見えないのだ。
続きが気になって
その映画を調べると、
やっぱり俺のカンは間違えてなかった。
「あの人……
こんな作品まで出てたのかよ…」