第32章 検索
知らなかった。
もっと早く見たかった。
海を超えた史上初のLGBT作品。
日本人と欧米人が絡んだものだ。
それだけでかなり話題になっても
おかしくないのだが
この日本では放送規制がかかったのだろうか?
内容は男同士のゲイ映画。
若き天才映画監督のロビン・オズボーンは
日本の若手俳優をキャスティング
したいことからはじまった。
オズボーン監督は
圧倒的な高度なカメラワークや映像センス
で数々の賞を受賞している。
美しいものをより鮮明で美しく、
彼の手にかかれば
儚くとも美しい花火がなくても
極上の映像美を楽しませてくれるという。
そして運命かのように
牛垣秋彦という
語学堪能で才能あふれる
美しい日本人の青年が現れ、
その隣りにふさわしい人材を緊急募集。
当初はゲイ映画にするつもりは
毛頭なかったそうで
そちらの意味でも衝撃作。
しかもただのゲイ映画ではなく
刑務所が舞台とあって、
過激な暴力シーンは少めだが
激しすぎる濡れ場を盛り込んだ
R指定作品と書かれてある。
牛垣秋彦に相当惚れ込んだのか
出演作にするだけでなく
主人公としてトップに名を連ねている。
日本人でハリウッド主役なんて
過去にいなかったはずだ。
海外で主役って…
あの人何者だよ。
演技も英語力も認められてんのに
なんで普通の会社員やってるんだよ。
思考回路が破綻している。
理解不能すぎる。
「やば……っ」
俺は欲望を抑えることができず、
ただちに映画をダウンロードした。
明日も仕事が控えていようが関係ない。
いま見ないと後悔する気がして、
夜更かししてまで
画面に張りついたように魅入ってしまった。