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【R18】Querer【創作BL】

第30章 注目の的





こじんまりした個人経営店だから
収容人数も限られ、
カウンター席以外は俺たちで貸し切り状態。



向かい合う席で
牛垣主任の近くの席を陣取るため、
女子社員3人と
賑やかな男性社員1人が
特に騒がしいのは間違いなかった。

そのほかは
その光景に見慣れているように振舞い、
時々会話に入ったりしているようだ。





「角の歓迎会なのに
なんか悪いことしたな。
あいつらはいつもあんな調子でよ」


「いえ…。俺は酒も苦手だし、
人と話すのも苦手で、
逆に目立たなくて助かってます」


「ふーん。角も人見知りなのか。
よかったな、進。
仲間がいたぞ」


「ああ、うん」


「お前またこんなときにゲームかよ。
相変わらずマイペースなやつだ」





鹿又は進の自由過ぎる行動を
咎めることもなく、
目は優しそうに笑って軽く流している。

牛垣主任や騒がしい人はともかく、
全員が全員
面倒くさそうな人ではなさそうだ。





「あの鹿又さん。
ここの一番の
オススメのお酒って何ですか?」


「うん? どれも美味いけど
俺はやっぱり地酒かな。
下戸でも飲みやすい甘口のやつなら…」





気を悪くしている様子はないが、
なんとなく一緒に飲みたいような気がして
一番オススメのを尋ねてみた。

そうすると鹿又は
少し驚いたように嬉しそうな顔をして、
アルコールが多少混じったトーンで
丁寧に教えてくれる。





「どうだ?」とさっそく頼んだ地酒を
喉に流し込む。

ヒンヤリとした喉越しのほかに、
香りだけでも酔わない
落ち着きがある味わいで
つられるように「美味しいです」と
笑みを返したのであった。


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