第3章 高熱
「これが俺の息子、
佑都だ」
携帯に保存された写真を、
ベッドの上にいる角に見せてやる。
「今年で6歳、でしたっけ。
ってことは来年…」
「小学1年生だな。
子供の成長というのは早いものだ」
佑都が生まれて、早6年が経とうとしている。
成長過程を懐かしむように
語っていると…
「主任って…、最初見たとき、
冷たい人かと思ったんですけど…。
仕事できて…部下想いですし…、
奥さんも、息子さんも大事にされていて、
本当に、出来た人だなって…尊敬します」
視線を落として薄らと微笑み、
角の心の内を
ほんのわずかだけ聞けたような気がした。