第3章 高熱
俺がそう尋ねると、
「ああいえ…。
…会社で…、先週の飲み会の話しのときに、
主任が、子どもに絵を、
描いてもらったとか何とか…」
「あぁ…あれか」
つい先週の話し。
角は部下と混じって話をせず、
ずっと席に座って仕事をしていたから
聞いてないんだと思っていた。
あの時の視線は…、
そういうことだったのか。
「おまえは行ったのか?
その時の飲み会に」
「いえ…。俺…、
賑やかな場所、苦手で…」
「そうか。
…息子の写真、見せてやろうか?」
そう言いつつ、
手は携帯画面を操作する。
あの時の飲み会には、
角は参加していなかった。
暗い外見の通り、
賑やかでワイワイする行事が苦手だと。
なるほどな。