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【R18】Querer【創作BL】

第29章 もう恋なんて





それから間もなくして、
メールで異動先を知ることになった。

3月での異動は異例ではあるが
珍しいことではない。





「…ここって、確か…」





俺が異動する先は、
ある意味途轍もなく競争率が高い部署。

都内には本店と支店を構えており、
いま俺がいるところは本店で
支店への転社命令が出た。



何かの手違いかと思ったが
訂正もされないし、

3月から超人気といわれる部署へ配属。










(嫌な予感しかしない…)










当然のことながら
人事異動の内示は一斉メールで知らされた。

だから羨む人も大勢いるわけで
普段話さない人間が
近くに寄ってきたりした。





「あーあ、羨ましいなぁ。
角くんどんなコネ使ったの?」


「長瀬くんと仲良かったよね!
長瀬くんもガテン系で格好良いけど、
でもやっぱり一度は秋彦様のもとで
”コピー頼む”
”よく頑張ったな”とか言われて、
頭ぽんぽんされちゃって
ドラマチックに働いてみた~いっ」


「短かったときも長かったときも
格好良かったけど、
今のビシッと決まった髪型も悶絶最高よね。
イケメン上司だったら
どんなに辛ぁい仕事も頑張れちゃうのになぁ」


「異動するなら私も支店がいいなぁ。
そしたら秋彦様とエレベーターで一緒になって
きゃ~っ!」





特に苦手な女が群がってきて、

香水の匂いやら
化粧品の匂いやらで
さらに具合が悪くなる。





(なんで女ってこうも臭いんだろ…)





口や鼻を覆いたくなるが
気分の悪さを出せば、
余計に近づいてくることもある。

出来るだけ息をしないようにして
立ち去るのを待つのであった。


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