第28章 職場キス
お風呂からあがってきた音に気付き、
天井にかざしていたチケットを
急いでしまう。
見られてないと思ったけど
長瀬はにやっと笑み立てる。
「なーにムフフな顔してんだよ。
そんなに楽しみ?」
「わ…悪いかよ…っ」
「いーや全然。
俺も楽しみだから嬉しいな~って」
水で濡れた短い髪。
胸元をはだけさせた
濃い色のバスローブを着て、
長瀬は全体重を乗せてくるように
覆い被さってきた。
「おっも゛」
「あはは。これが幸せの重さだ~」
「う゛。
ほんと重いって!
何キロあんだよ…っ」
じゃれ付くように身体を密着させてくる。
さっき抱かれたばかりだというのに
また着火してしまいそうで
くつくつと笑っている長瀬の身体を
強めに押し返す。
(幸せだ……)
俺を分かってくれる人と出会えて。
俺を愛してくれる人と出会えて。
「長瀬。ありがと」
「ん? なにが?」
「なんでもない」
幸福を分けてくれた長瀬。
でもちょっと
長瀬の筋肉質の身体が重すぎて、
洗ったばかりの肌に汗が滲んだのであった。