第26章 友達
その後も長瀬は
変わらぬ友達として過ごしてくれた。
それから間もなくして
長瀬の住む
タワーマンションに
はじめてお邪魔することになった。
「おお、いらっしゃい。
よく来たな~」
「お邪魔します…」
天井突き抜ける
高いエントランスからエレベーターをあがり、
たどり着いた長瀬の住処。
出迎えられた部屋の家具も
磨かれたようにキラキラしていて、
すべてが高級品に見えてしまう。
「ここがトイレな。
それからここは秘密の部屋だから
開けるなよ~。
俺の幸福が逃げていっちゃうから」
「うん。わかった」
秘密の部屋には特別興味はなかった。
誰にだってみられなくないものが
一つや二つあるだろうし。
ただ単に至るところに
圧倒されている影響もあった。
リビングルームにつくと
景色が一望できる
開放的な窓が広がっていた。
「きれい…。ホテルみたいだ」
「湊の実家は一軒家?」
「あぁうん。そうだよ」
「ペットとか動物飼ってた?」
「ううん。
親がアレルギー持ちだったから。
長瀬の家は犬とか猫、飼っていたのか?」
「ポメラニアン1匹とマンチカン3匹をね。
すっげー可愛いんだけど写真みる?」
「あ、見たいかも」
長瀬はちょっと待っててと言って、
フォトアルバムを持ってくる。
そこには犬や猫の写真だけでなく、
目や鼻立ちもハッキリしていて
ちょっとぷくっりとした
小さい頃の
長瀬が映っているものもあった。