第24章 初デート
机の下でグッと握りこぶしを作り、
自分の感情を抑え込む。
すると…
「じゃあ清水は
苦手な食べ物とか苦手なタイプ、
なにかそういうもの一つないか?」
「っえ…?
んー、しいて言うならキノコ類…嫌い」
「おいおい清水~。
あんな良いダシのでるキノコが嫌いなのかぁ?
鍋に入れたら美味いだろ~。
焚き込みご飯、味噌汁も美味いよな~」
「えー…だってなんか
気持ち悪くないですか?
匂いとか見た目、触感とか…。
シイタケとか、エノキ?とか…
あとヌルッとしたのとか…気持ち悪い…
ってゆうか、
話しズレてません?」
「要するにだな。
カミングアウトした人たちは
プレッシャーを与えられて生きてるんだ。
全員キノコが好きだ好きだ、
食べられないお前なんて理解できない。
な~んて毎日似たようなことを
言われ続けたら
とてもストレスを感じるだろう?」
「でも、それは食べ物だし…」
「極端な話、
あの女の子可愛いよな~、とか
女と早く結婚しろって
自分は好きでもないのに
プレッシャーを掛けられているってこと。
カミングアウトしなけりゃ
分かってもらえない。
ただ世界に発信するのはすごいことだよね。
ごく一部の人間だけでなく、
自分の性癖をさらけ出すんだから」
代表して嫌われてしまった
キノコの話しだけど、
女子は少し考えたように黙り込んでしまう。
たとえ話でも
橋爪先生は理解のある人なんだなって…
尖った気持ちが和んだような気がした。