第24章 初デート
先生に聞いてもらいたい。
ハリウッドスターみたいに
世界に発信するようなことはできないけど、
先生になら…って思ってしまう。
(…よし。)
その日にすぐ
先生に言うことはできなかったけど、
その日から
ゲイだと悩む気持ちがほんの少し軽くなった。
ほかの生徒や先生たちにも
聞かれたくない内容だったから
いつも以上に慎重になって、
先生に話し掛けるタイミングを狙っていた。
「あの!橋爪先生…」
「おぉ~どうした?
ちょっとビックリしたじゃないか。
角から呼び止められるなんて珍しい。
最近授業も真面目に聞いてるようだし
分からないところでもあったかい?」
「あっ…いや、勉強の話しじゃなくって」
「……あーそっか。分かった。
ちょっと場所用意するな。
ここで待ってて」
「すみません…」
橋爪先生は相談室のようなところを
解放してくれて、
向かい合うように着席する。
「嬉しいな。俺に相談してくれるなんて」
「…この前…、先生と女子たちが
ハリウッドスターのこと
話してたので…それで…、その…」
「慌てなくていいぞ。
ゆっくりな」
この前、話していたこと。
俺もあのハリウッドスターと
似たような境遇だったことを話し…
恐る恐る視線をあげると
先生は
驚いたように目を見開いて、
困ったように視線を落としたのだった。