第24章 初デート
何も進展しないまま
また1年が経つだろうと諦めていた矢先、
生徒と橋爪先生が
最近ニュースで取り上げられ
ゲイだとカミングアウトした
ハリウッドスターの話しをしていた。
「私あのハリウッドスター、
超イケメンで好きだったのに
超ショックだったんだけど~。
もういつもみたいに映画見れないよぉ…」
「最近聞くようになったよねぇ。
カミングアウトする人」
「先生はどう思う!?
あれってわざわざ言う必要ないよね!
なんにも得なんてしないのに!」
得がないって、なんだよ。
自分の性癖公表するだけでも
もの凄く度胸がいるのに、
なんもないって
…なんだよ。
人とは違うから…
我慢して生きて、
死にたいくらい悩んで、
普通に恋愛したいのに出来なくて、
好きだと気付いたら同時に失恋を味わって、
周りに合わせて嘘を吐いて、
ゲイだと知ったら
遠巻きに見られたり悪口ばっかり言われて、
それがどんだけ苦しいのか知らないくせに。
得したいから
カミングアウトしたんじゃないんだ。
自分を分かってもらいたかった。
苦しい気持ちを少しでも楽にしたかった。
自分がどれだけ気持ち悪いって
分かってるけど、
同性に惹かれてしまう。
変えようとしても変えられないんだから。