第23章 先生
「角はなんで塾で学びたいと思ったんだ?」
「それは…」
海外で結婚して幸せになりたいから。
「授業に追いつけないと思ったので」
「そういう割に聞く気ないよなぁ。
僕の授業って詰まんない?」
「そういう訳では」
出会いを求めたい。
それが海外へ行くチャンスだと思ったから。
雑念ばかりだけれど
他人に価値なんて計れないだろうし、
俺にとっては重要なこと。
最も信頼してた肉親に
理解してもらえなかったのだから
他人にカミングアウトしたって
理解してもらえる筈もない。
「思春期の悩みってやつかな。
先生もそういう時期あったなぁ…」
「先生は何に悩んでたんです?」
「お、聞いたなぁ?
まあ実際いうのは今でも恥ずかしいんだけど
口が堅そうな角だから特別に教えてあげよう。
じつは、
おしものことで悩んでいて…」
思春期になると
急激に性に興味を持ち始める。
横の長椅子に座った
橋爪先生はコソっと教えてくれ、
息がかかりそうな距離になってドキッとした。