第23章 先生
自宅に帰る前に喉が渇いて
自販機の前で飲み物を選んでいると、
先程まで
仲良さそうに生徒と話していた
橋爪先生がやって来た。
「角はいつもボーっとしているよな。
ジュース選ぶよりも
悩みとかあるんじゃないの?」
「…ないですよ。別に普通です」
「普通ってことないだろう。
角はいつもここまでチャリで来ているの?」
「いえ」
先生を囲んでいた生徒たちの姿はない。
一体どこへ行ってしまったのだろうか。
「人と話すの苦手?
それとも僕が先生だから…」
「いえ…。
ただ何となく…ほかの子いないなって」
「あー言われていれば。
僕、嫌われちゃったかな~」
なんで俺なんかに話し掛けてくるんだろう。
目を付けられないように
頑張ってたのに。
ただでさえ目つきが悪いから
些細なことで批難されるんじゃないかって、
いつも他人から
話をかけられるのが苦手だったりした。