第23章 先生
橋爪先生と出会ったのは
俺が中学2年生の時。
後ろの席の方に座り
教壇の上で授業を行う
先生の姿をぼんやりと視線に向ける。
「会話というのは曖昧なもので
自分で口にしても
意味が良く分かってないことがある。
なので、
正確な単語を一つずつ覚えていくよりも…」
外国語を身に付けたくて
親に頼んで塾を受講させてもらった。
海外は英語だけじゃないだろうし
その他にも学校の授業だけでは
足りないと思ったからだ。
特に聞かれることもなく
受講料を出してもらった。
このとき両親は
俺が海外に行く目的も知らなければ
興味もないだろうから
告げるつもりもない。
俺は同性愛者で
この狭い日本から出たい。
(金髪の、茶髪でもいいな…。
目の彫りが深くて
鼻が高くて、
性格も情熱的で…
SEXもテクニシャンで
色んなことシてくれて…)
授業に集中せず妄想にふける。
クラスの男子が
女子のことを想っているように、
俺の頭の中では
自分が男に組み敷かれている姿を
想像するのだ。