第21章 合コン
女の甘ったるくて甲高い声も
そのほか男の声も聞こえなくなって、
立ち上がれない俺の背中を
優しく擦り続けてくれる
大きな手のぬくもり。
(コイツの匂いも、覚えちゃいけないのに…)
ストライプのワイシャツ。
高そうな腕時計なんかつけて
香水のような…
整髪料のような爽やかな匂いが
ほんのりと香る。
体育系の短髪で
男らしい整えられた太い眉毛…
鼻立ちもスッキリしていて…
唇は少し分厚くて
右眼の方が二重がくっきりしていて、
真っすぐした力強い目つきで…。
「俺の顔、ちゃんと見えてる?」
「っ…」
「ははっ、照れた。
焦点合ってきたんなら
少し水飲んでアルコール浄化させようぜ」
ぼんやりとした視界や開けて、
間近にあった長瀬とばっちり目が合う。
恥ずかしいくらい見詰めてた。
(穴があったら入りたい…っ…)
差し出された冷や水を受け取ると、
グイっと煽った。