第19章 戻りたい
大粒の涙を流したユウは涙を拭き、
眩しいくらい笑った。
「あの時、声掛けてくれてありがと…っ」
俺は何もしてやれなかったと思ったのに
こんな風に笑顔を見せられたら、
なんだが俺の方が泣けちまう。
いじめの暗い過去も…
親に虐待され離婚したことも…
よく拗らせないで
ユウをここまで強くさせたんだなって。
「話してくれてありがとう。
…一緒に、乗り越えような。
ユウ」
ユウはまだ不安だらけなのだ。
打ち明けてくれた不安を
すべて忘れ去ることなんてできないけど、
これから沢山、
泣いて笑えるような良い思い出作って
少しずつ和らげてやりたい。
腕を伸ばし…
ユウにまた触れて、頭を撫でてやる。
ユウは綺麗だ。
大丈夫。
これからは俺が居てやるんだと
そう願いを込めて。