第19章 戻りたい

獅子の子落とし
ということわざがあるが
ユウがもう限界だってことを
考えられなかったのか。

耐えてんのに
闘ってボロボロになってんのに、
母親は更に突き放す行為をしてしまった。





「学校に行っても、家に帰っても…
俺の居場所が無くなって…。

グズグズ泣いてたら
怒鳴ったり、叩いたり、
押し入れに閉じ込めれるようになって、
…急に暗くなると
あの時みたいに急に発作が起こったり
するようになっちゃって…。

俺はいつまで経っても弱いままだし、
いつも泣いてるから
お母さんがノイローゼになった…。

お父さんもあの時は仕事が忙しいって
聞いてくれる人じゃなったから…
家の中もメチャクチャになっていった。

もうどうにもならなくなった時、
近所の人が通報してくれて…
俺は一時的に児童相談所に保護されたんだ。

…お母さんは何も悪くないけど
もう耐えられないって言って離婚。
お父さんも仕事をかえて
俺との時間を増やしてくれたけど、

…違う学校に転校したのに
学校に行けなくなっちゃってて。

これはただ甘えてるだけだって
分かってるのに、
何度も何度も
自分に言い聞かせても
…怖く…なっちゃって…。
結局、
その中学校に一度も行けないまま卒業した。

高校は通信か入学するか迷ったけど、
お父さんが…気持ち悪くなったら
すぐに帰れるようにって
近いところに越してきた。

…暗くしてたら
またいじめに遭うかも知れないのに、
今までみたいに上、向けなくなっちゃってて…。

そんな時…、アキが…
アキが俺の前の席に座ってくれて
声掛けてくれたこと

すごく、嬉しかった…っ…」