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【R18】Querer【創作BL】

第19章 戻りたい





この呼吸、
アニメかドラマでなんか見たことある。

過換気症候群っていう奴で
激しい運動した後とか
ストレスが誘因となって
引き起こされる呼吸器疾患。





「たしか紙袋当てれば…」





だがしかし口を塞ぐものはない。

紙袋もビニール袋もなくて、
ユウが抑えている口元の手を退けて
後頭部を持ち上げて咄嗟に口づけをする。





「ンンっ」





顔を無理やり上げさせたから
じわっと涙を浮かべた
辛そうなユウの表情。



…これ以上にないくらい
間近にある。



ふーッふーッと息を漏らし、
俺の口の中にユウの空気が入り込む。

離してと抵抗する動きはあるけれど
全然力が入ってなくって、
助けたい一心で、唇と唇を重ね合わせた。










(治まれ…治まれ…っ…)










ユウの熱くなった身体を強く引き寄せ、
過剰な呼吸が治まることを願う。



すると、
後ろから気配がしたと思ったら
スパンッと頭を思いきり叩かれた。





「ん゛!?なにす、」


「襲ってどうする!!いいから退けッ」


「だって、口を塞げばいいって…っ」


「…あれは誤った処置法だ。
どうせドラマの影響とかだろう?
こういう時はとにかく
落ち着くまで背中を擦ってやれ。
キスで窒息死させるなんてシャレにならんぞ」


「うっ…」





人工呼吸とか白雪姫とか
ドラマチックに
キスでどうにかなったから
同じように助かるんだと思ってた。

けれど過呼吸の場合は
口を塞ぐのは危険行為だと道を正される。




危うく大切な友人を失うところだったと
先生に代ってもらって
ユウの背中を擦り続けたのだった。


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