第19章 戻りたい
仕事の話しはこの辺にして
昼休みの時間にたまに英語を教えたり、
ユウの家にお邪魔して料理したりする。
「この時間が一番癒される…」
「どうかしたの?」
「あぁいや…、料理楽しいなぁって」
料理が楽しいのも勿論、
ユウと一緒にいるから楽しい。
このところ研究や撮影だけでなく
レッスンやら稽古やらで
煮詰まった日もあった。
そんな俺を癒してくれるユウは
170cmもない低い身長で
色白ではない健康的な肌、
華奢っていうほど細くはないけど
どことなく可愛らしさを感じてしまう。
「あっ!この俳優さん最近見るよね~。
主演映画もうすぐ上映だし見に行かなきゃ」
「誰か一緒に行くのか?」
「ううん。一人で行こうかなって
思ったんだけど…」
「じゃあ上映されたら俺と行こうぜ。
ユウとまたデートしてぇし」
「デ、デートって…」
誰かと一緒に行くんじゃなくて良かった。
女だったら聞き捨てならなかったと
ホッと一安心。
「二人で遊んだらデートだろ。
日時決めて会う、約束っつったらデート」
「う、うん…。そうだね」
「にしても演技力ついてきたよな、
この俳優さん」
「うんっ、そうなんだよ!
表現力豊かになったよね!
これからもっと出てくるんだろうなぁ」
「……」
番組に出演している
イケメン枠の俳優に釘付けのユウ。
そういえば…、
「津梅さんの時もそうだったけど、
ユウって女優やアイドルより
男に反応するよな」
ふとそう思ったことを口にした。