第19章 戻りたい
初めての撮影に意気消沈。
大半の原因は
研究に夢中になって
長風呂をしてしまったことにあるのだが。
「まだ3日も経ってないのに早朝撮影。
走るのは止めにして
ストレッチと筋トレだけしておくか」
街中での撮影は
人通りが少ない早朝の時間帯を狙ってのこと。
「専属モデルだから毎月掲載か…。
有難すぎる」
オーディションを勝ち残ったわけでもない
スカウトマン小野寺に誘われた
野良で無名のド素人モデル。
小さくても大きくても
毎月掲載ということは
人の目に触れることが多くなるということ。
でもあの時、
津梅を間近で見といて良かった。
ポージングとか表情とか
見ているのは簡単そうだったけど
実践したら難しくて、
どんどん追求したくなる面白さ。
「おつかれ~!
今日の撮影はこれで終了です!」
「早朝から有難うございましたっ」
元気でハキハキと挨拶をする。
現場は和やかだが友達じゃない。
こっちはバイトのつもりでも遊びじゃない。
相手は大人でありプロであり、
ここは仕事場だ。