• テキストサイズ

【R18】Querer【創作BL】

第19章 戻りたい





すー…と息を吐いて深呼吸。





学校の記念撮影や証明写真とか
まったく緊張なんてしなかったのに
今日は自分の貧弱さに驚かされることばかり。

まるで大会に出場しているみたいだ。





(大丈夫…。俺にはみて欲しい奴がいる)





それは明確に、根本的に。

すー…と吐き出した息を止め、
新しい空気を吸い込んで
アウェイ感をぶち壊すように大声を張り上げる。














「よろしくお願いしますッ!!!」













腹から突きあげるような大声をあげたから
周りの大人達は
ビックリとした表情を留める。

驚いて目を大きく開けて
固まって、

けれどそれは次第に解されていって…。





「おう!よろしくなっ」


「威勢がいいね~!牛垣くんよろしくっ」


「イイ声してるね~!
クールな子かと思ったらちょっと意外」


「部活動紹介のとき長ランに惹かれて
応援団に入ったんです。
そこで発声練習とかあって…」


「へえ~!応援団か!
効果テキメン!僕イケメン!はいオッケー」





大きな声を張り上げたことで
余計な力がスーッと抜けていく。

床も後ろも白いところに足を踏み入れ
視線をあげると、
カメラマンやスタッフの人たちが
一人佇む俺のことを見ていた。










(あぁ…そうか。この感覚か…)










背中のあたりがゾワゾワする。

武者震いのように全身が震えあがって
だんだん楽しくなってくる。





顔のほころびを抑え、

向き合ったカメラにパシャっと

1枚ずつ、

シャッターが切られていった。


/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp