第19章 戻りたい
夕飯を食べ終わって
少しだけ英語の勉強をして、
8時近くまで雑誌を見させてもらう。
「ユウはファッションに興味あるんだよな?」
「人並みにだけどね。
欲しい洋服あるんだけど
お小遣いにはなるべく手を付けたくないし
早くアルバイトも探さなきゃ
とは思ってるんだけど…中々」
「ユウは接客向いてそうだけどな。
見た目からして優しそうだし、
ユウと喋ってたら癒される」
「えっ…」
「俺も服買いたくなってきたから
短期バイトしよっかな。
週末部活動ないし」
ファッション雑誌から
ユウの開いていた求人情報誌を捲っていく。
高校生だからバイトの種類が限られる。
コンビニやキッチンスタッフ、
ファミレスやカフェ、
軽作業やイベント関連の仕事など様々だ。
「…あ」
ふと、名刺の存在を思い出す。
Q-BOYSだけでなく、
数ある中の雑誌モデルや俳優の仕事。
津梅もお小遣い稼ぎと言っていた。
「モデルってどんだけ貰えんだろ…」
あれだけ否定的だった気持ちが
あの時のユウの顔を思い出し、
薄れてしまっていた。