第19章 戻りたい
男二人でキッチンに並び、
ユウは赤色エプロンをつけて
俺は色違いの茶色エプロンをつける。
横にいるユウに目をやると
唇を緩ませて
こっちまで嬉しさが膨らんでくる。
「いい具合に焼けてきたな」
「少しだけ焼き目つけたいよね。
そろそろかな~」
その間に千切りキャベツを皿に盛り、
キュウリやトマトなども並べる。
そのほかに味噌汁やご飯を装い、
はじめて共同作業で作った
夕飯が完成した。
「いただきまーす。
…んっ!この千切りキャベツ、
シャキシャキしてお店の食べてるみたい!」
「特に何もしてないんだが
短時間冷水につけると
シャキシャキ感が増すんだよ。
時短でスライサーでやってもいいんだが
包丁で切った方が艶が増すしな」
「アキはもう千切りマスターだね!
こんなに美味しい千切りキャベツが
食べられたらもう十分だよ!」
「そうか?なら次はみじん切りだな。
みじん切りといったら…、餃子か?
作ったことある?」
「餃子いいねっ!
まだ試したことないかもっ」
二人で料理をする楽しさ。
それに学校では二人きりになることが
叶わないから
また約束した形ができて嬉しく思えた。