第19章 戻りたい
自分の私服のダサさに気づき、
ある案を思い付く。
「そういやユウって雑誌買ってるんだよな?
津梅さんが出てる奴」
「うん。月刊誌だから毎月買ってるけど…」
「ならさ。俺が英語教えてやるかわりに
雑誌見せてくれないか?
学校でやったら落ち着いて出来ないし…。
俺ん家でも良いけど、
ユウん家はここから近い?」
「隣駅から徒歩5分だったかな。
近いところに越してきたんだ」
ということは学校からは
ユウの家の方が近い。
ユウの家に行ってみたいが…。
「…俺ん家、父子家庭なんだ。
だから遅くまで親いないし…
アキさえ良ければ俺ん家でもいいよ」
「!…いいのか?家行っても」
「うん。あんまり広い家じゃないけどね」
広くても狭くても構わない。
むしろユウの家に行けることに意味がある。
なんだかそれだけで
無性にテンションが上がってしまった。