第19章 戻りたい
ユウのことも知りたいと思って
話題を振った。
「ううん、いないよ。
俺、モテないし」
「可愛いからモテるだろ、おまえ」
「え?…」
「ん?俺、今なんつった…?」
「…え、っと…」
ついポロっと言ってしまった気がする。
可愛いって。
本音が。
ユウも顔を赤くして、また可愛くなってやがる。
「可愛いって言われてヤか?」
「えっ、いや…全然…そぅでも…」
「なら良かった…。
まあ深い意味はないんだけどな。
可愛いっていうのは…愛嬌があるんだよ、
おまえって。
笑うと可愛いし…な」
「…あ…、あり…がと…?」
深い意味はないってなんだよ。
愛嬌はあるけどそれだけじゃない。
なんか可愛い。
説明が付かない可愛さを感じて、
自分の言動を必死にフォローしてしまった。
「でもそっかぁ…。
アキが格好良い服着てるの
見たかったなぁ…」
「俺の私服、まだ見たことないだろ。
オシャレとは程遠いが」
「洋服、自分で買ったりしてるの?」
「いや…。
ほとんど動きやすい格好ばかりだったし、
Tシャツ、ジャージ、スエットとか…。
いま思ったが
俺ってめっちゃダサい?」
さっきの津梅の格好を思い出す。
テレビで見るようなオシャレな格好。
動きやすさっていうよりも華やかさ。
髪型もスタイリッシュで。
俺が着ているのは学校の制服。
次に動きやすい格好。
これまでファッションに興味が無さすぎて、
今一度自分のダサさを
一から見直すべきだと気付かされた瞬間だった。