第3章 高熱
計測し終えた体温計をみると。
「帰れ。自宅療養を命じる」
「ええ、でも、
俺はまだ…」
「喋るな触るな安静にしてろ。
今日はここまでやってくれて十分だ。
あとは俺がやる」
「……、」
喋るな、ということを律儀に守っているのか。
何か言いたげなのは分かるが、
自己管理できていない本人が悪いのだ。
「そんなに働きたけりゃ、
風邪が治ったら扱き使ってやる。
今日はもう帰れ。
分かったな?」
「す…すぃません…」
俺の言ったことを理解したようで、
角はトボトボと帰っていく。
一人暮らし。
近くに頼れる身内もない…。
看病してくれる人間がいないということは、
恋仲は…いない、
ということだろうか。