第19章 戻りたい
俺がユウの名前を呼ぶと
視線を寄こしてきて、
(な、なんだよ。その目は…)
なぜかユウは目をキラキラさせていた。
「Q-BOYSって、あの、
津梅剣くんが所属してるところですよね。
俺、ファンなんです…っ…!!」
「おっ!ツヴァイケン知ってる?
今日ちょうど近くで撮影してるから
サイン貰えるかも!
牛垣くんが来てくれたら僕が話しつけて
会わせてあげるけどな~」
「…近くで撮影…。
あ…でも、そっか。…アキは…」
…汚いオトナめ。
ユウを出しに使いやがって。
ってかツヴァイケンって誰だよ。
なんでユウはそんな奴のファンなんだよ。
くそ。
俺はすごくムカッとしていたが
ユウはきっと、
面倒臭い奴に絡まれるという
俺の言葉を思い出したのか
キラキラした瞳に陰を落として
がっかりした表情を浮かべてしまった。
「み、見に行くくらいなら…」
「えっ、いいの!?」
「言っときますけど
あの話し、
呑んだワケじゃないですからね。
俺、部活やってるし
仕事できる時間とか…」
「へえ~!部活やってるんだ。
とりあえず歩きながら話そ。
あ。その前にちょっと
向こうに電話させてね~」