第19章 戻りたい
俺は元々運動神経が良い。
ドッジボールに青春を捧げてきたが
高校からは
新しい部活動を始めようと思っていた。
しかし、
部活動オリエンテーションで
一人で背負っている姿と
応援団の長ランに惚れてしまって入部。
ユウの奴も誘ったが
お小遣い稼ぎのためアルバイトしたいと
断れてしまった。
ちなみにタケと大介の奴も
バスケとサッカー経験者だったが
応援団についてきやがった。
「久々に街のほう来たかも」
「え?そうなの?」
「いちいち絡まれんの面倒臭くってな。
近所で済むこと多かったし、
ずっとドッジに明け暮れてたから…」
噂をすればなんとかだ。
駅から降りて数分も経たないうちに
見覚えのあるニコニコした奴に捕捉される。
「やあやあ久しぶりだね~武明くん。
高校入学おめでとう、だよね!
そんなに警戒しないでよ~。
今日はお友達と二人でお買い物かな?」
「お久しぶりです。
そういう事なので今日はこの辺で」
「え、えっと…」
「行くぞユウ」
俺が歩き出すと
その男も一緒になってついてきて、
ユウの方を見て話し始めた。
「君、ユウくんって言うんだ。
初めまして~。
僕は雑誌Q-BOYSのスカウトマン
やってます小野寺って言います。
よろしくね~」
「あっ、え。Q-BOYSの!?」
「あ。知ってる感じ?
もしかして買ってくれちゃったりしてる?」
「おい。ユウ…」
やばい。
俺じゃなくユウを釣って引き止める気だ。
性質が悪いオトナめ。