第19章 戻りたい
ウッシーも別に悪くはない。
愛嬌があるし、
生まれた日もちょうど牡牛座だ。
俺に選ぶ権利があるなら…。
「じゃあ牡牛座だから、」
「下の名前、武明だから…
アキっていうのは…」
「ん?」
「あっ、いやごめん!
話し遮っちゃって…っ…」
黙々と一人で
飯食ってた槍木が重ねて呟いた。
会話に入ってきた驚きと、
慌てて手を振って否定する仕草。
聞こえてしまったモンだから無視できない。
「アキ、か。いいな。それ気に入った」
「じゃあアキに決定!うえーい!
ヤリギは…」
「ヤリギじゃない、ウツギだ。
ヤリだったらタケより
出席番号後ろになるだろ」
「あ。そっか。悪ぃ」
「それにしても珍しい読み方だよな。
槍は銃みたいに撃つから…、そんな感じか?」
「俺にも分かんない…。ごめん」
珍しい名前の呼び方なので
初対面でフリガナがなければ
確実に間違える案件だろう。
今度は槍木のあだ名を考えることになり…。