第19章 戻りたい
結局二人で食べることは敵わなかったが、
遠慮しそうな槍木を引っ張って
屋上でパンをかじる。
「中学んとき屋上禁止だったから
夢叶ったかも」
「ぶはっ!
牛垣の夢、屋上で飯食うことだったの!?」
「え、だめ?
俺なんかヘンなこと言った?」
「いやいや全然。
俺も屋上行けるっつーからこの高校選んで」
「今それ絶対作っただろ」
槍木のほかに二人の男子。
俺とお近づきになりたい騒がしい竹岡竹蔵と、
その類友の松尾大介がテンポよく話を口走る。
「ってかさ。
ウシガキって名前長いから
あだ名付けようぜ!」
「おまえらと大差ないだろ。
タケちゃん、ダイちゃんって」
「文字数で言ったらな。
中学とか小学校の時、なんて呼ばれてた?
ウッシー?ガッキー?」
「あー俺、ガッキー好きなんだけど。
ポッキー食べたくなってきた。
牛垣の好きなタイプってどんな子?」
「それめっちゃ知りたいっ!
ってか、ガッキーは可愛いから無しな。
残ったのはウシ?」
「モーモーじゃねえわ。
そうだな…、
タケは被っちまうし…」