第19章 戻りたい
動揺している姿がなんとも可愛いらしい。
なんていうか、
イジワルしたくなる可愛さが
槍木にはあるのかもしれない。
男だけど。
「て、手入れ…ね…。
ケアはしてるかな、一応…」
「へえ。なに使ってんの?」
「俺は…」
質問すれば必然と答えてくれる。
槍木になにかしら興味を持った俺は
チャイムが鳴るまで槍木に話し続けていた。
「なあ、槍木。昼一緒に食べないか?」
「え…いいの?」
「おう。俺購買なんだけど、槍木は?」
「俺も、購買で買おうかなって…」
「じゃあ昼になったら一緒に行こうか」
2日目からはじまる午後授業。
初日にもっと槍木と話したかったのだが
他の連中に絡まれ、
メールアドレスも聞くことができず
気付いたら先に帰られてしまった。
だから、
他の奴が来る前に約束を取り付けた。