第17章 親友の涙
ユウとこんな別れ方をするのは初めてだ。
玄関まで行くと
ユウの姿が見えなくなり、
怒りを沈めている赤司に目をやる。
「…んだよ。くそっ…、外でな」
赤司はユウが泣いた理由を知っている。
俺の知らないことを赤司が知っている。
だから俺は困惑していて、
赤司は逆に激怒した。
赤司はユウに届かない声で吐き捨てると
乱暴に靴を履き、
無言で階段を降りて行って
人の少ない薄暗いマンション前に佇んだ。
「ハァ…」
「話す側からため息を吐くな。
何故おまえにまで責められるのか
意味が解らん」
「ハイハイそーですね。
つか鈍いんだよ。
俺より前にユウと知り合ってんのに、
高校ん時からずーっと一緒にいて
気付かねぇフリしてんじゃねぇっていう話し」
「あ?」
ケンカ腰の物言いの赤司。
俺とユウの過ごしてきた思い出を
浅はかで滑稽に扱われている気がして
ムカッとくる。