第17章 親友の涙
恋愛出来ない俺にとっては重要なことで、
赤司はどうでもいいが…
ユウはそれを知ってくれている。
「え?…恋…って、…え?職場の子と?」
「今はそうだな…。
元職場の人間だったかな」
湊は会社を辞め、
新しく在宅翻訳という仕事をやり始めた。
今は丁度軌道に乗り始めたところで
毎日パソコンに向かって仕事をしているのを
俺は見てきている。
「名前を聞いたら驚くかもしれないが…、
ユウも赤司も会ったことある奴だ」
「う、ん~…。
赤司もあったことあるのかぁ…」
すぐ言いたくて心がムズムズする。
好きになった相手は男だけど、
ユウと赤司なら偏見は大きくないだろうし
受け止めてくれるだろうと
いよいよ口にすることに決めた。
「俺は今…、湊と付き合ってる。
カットモデルの時に会わせただろ。
湊が転社してきて、
最初に会った時からどことなく
惹かれてたんだろう。
なんつーか…
ずっと視界に入ってて、
ほっとけなくって、
反応が一々可愛くってさ。
話してるうちに色々知りたくて、
そん時はまだ好きとは気付いてなくて…
確証したのが、
ホテルで抱いたときだな。
最初は男の身体にビビッて、
最後まで出来なかったんだが…。
俺自身、恋とか男同士とか
初めてでよく分からない部分が多くて、
キスしたら誰にでも勃つのかと思ったんだ。
だからなんとなく、
ユウにキスしたんだと今更ながら思う。
ユウが教えてくれた恋愛感情で
最も一番近かったのがユウだったけど…
親友とか男同士だってこと以外に
何も思わなかった。
…湊は俺にとって特別なんだって、
好きだって気が付いて
惚れてたって、自覚したんだ」