第17章 親友の涙
ユウは不安そうな顔をするが
俺の安心させるような表情を作って、
コクンと頷く。
「アキがそう言うなら…」
「それより今は、
これがなくて会社で大変だけどな」
「うーわ。出たよ、ウザ発言!」
離婚して指輪を外した左手薬指をみせる。
赤司はあからさまに憎たらしい顔をして
ギャーギャー騒ぐ。
「実際そうなんだから仕方ないだろ。
バツイチ独身になっても
俺はまだモテるらしい」
「嬉しそうなのウザッ!」
「そりゃアキは幾つになっても
魅力的だもん。
また、女の子を作ってるの?」
「第二の嫁候補って奴か…」
「社会人になってまで
二番目の女を作るつもりはない。
若いとき十分過ぎるほど好き勝手に遊んだしな。
結婚して子供産んで、
女は恐ろしいってことも身に投じて分かった」
「妊娠詐欺な~。
佑都くん、だっけ?
すごい可愛がってたけど憎くならねえ?」
「子供も嫁も恨んじゃいない。
アイツと話して学んだこともあった。
それに…
本当の恋を見つけることができた」
「え?…」
湊のことを思い出して頬が緩んでしまう。
今頃、
湊は何をしているのだろう…かと。
「離婚して不謹慎だが、恋…したんだ」
二人に祝福して欲しくて、
俺は一番伝えたかったことを伝えた。