第17章 親友の涙
初めての恋を早々いうのも気恥ずかしくて、
まずは無事、
裁判が終わったことを祝う。
「懲役5年、執行猶予10年かぁ…。
これって重い方なの?」
「前科がないことや犯罪行為の悪質度、
再犯の度合いとかを勘定した結果、
初犯から実刑が決まらなかった。
今も刑務所に入っているわけではないしな」
「え!?待って。それって危なくない!?
祝ってる場合じゃないよ。
どっかで見てたり聞いてるんじゃ…」
「兄貴落ち着いて。
そのための執行猶予10年を言い渡されてんだよ。
執行猶予期間中の10年間、
罪を起こしたなら有罪になって
懲役5年の刑罰を受ける。
逆に罪を犯すことなく過ごせたなら罪は無効。
懲役は無くなるってコト」
「無効になって懲役は免れても
前科が残るからな。
刑務所も暇じゃないんだ。
それに
執行猶予は更生させる目的もあるが
一般社会に戻って、
警告されてる中で罪滅ぼししなきゃならない。
副部長から子会社に左遷したと聞かされて、
とりあえず安心したいところなんだがな」
長瀬の最後にみせた
瞳の奥に込められたモノを忘れたわけではない。
けれど
同じ都内にいないと思うだけで
少し気分が楽になる。
長瀬の父親である副部長は
遠い小さな子会社に飛ばしたと言っていた。
雪が降る四季折々の土地へ。