第17章 親友の涙
部屋の中にはユウ以外にもう一人。
「よう赤司。
今日はお呼びじゃないんだけどな」
ソファーのところには
寛いで寝転がっていた赤司がおり、
玄関の靴をみていたから驚きはない。
「そっちこそ。
自分の家みたいに上がって来ちゃってさ。
今日は何の用なんデスか」
「俺の方が早く約束を取り付けたと思うが…。
まあ、
赤司がいても別に変わりはないか」
「俺の質問スルーかよっ」
世話になった恩を感じているが、
赤司には通常運転で冷たくあしらってやる。
赤司も長瀬の件に関わり、
湊が
同性愛者だということも耳にしてしまった。
今更隠す必要もないだろうと
紙袋をテーブルの上に置く。
デニムエプロン付けて
キッチンの前に立っている
一つに緩く縛ったユウの後ろにピタリと寄り、
「美味そうな匂い。
ミネストローネだな」
「アキ。手ぇ洗ってきた?」
「入る前に洗面所で洗ってきた」
「さっすが。
夏野菜たっぷりにしてみました。
味見する?」
「ち~か~い~」
赤司がソファーの方から不機嫌な声を上げる。
「こっちも通常運転だっての。
(味見)する」
だがそんなの構わず
トマト色の色をしたスープをすくい、
ユウは俺の口元まで運んでくれる。
「味どう?」
「俺の好きな味。
さっぱりしてて美味い」
「そう?良かった。
赤司も味見する~?」
「いらな~い」
その後、食卓テーブルの盛り付けを手伝い、
全く何もしない赤司は
出来た頃を見計らってやって来た。